墓頭(ボズ)

墓頭

墓頭を読みました。内容はAmazonの内容紹介にあるようにドキドキしながら一気に読みたくなる小説です。

1955年。頭に、双子の片割れの死体が埋まったこぶを持って生まれ、周りの人間を次々と死に追いやる宿命を背負った男―ボズ。異能の子供ばかりを集めた福祉施設「白鳥塾」に収容され育つが、そこで出会った少年少女―ヒョウゴ、シロウ、ユウジン、アンジュらによって、ボズの運命は大きく変わっていく―。70年代の香港九龍城、80年代のカンボジア内戦を経て、インド洋の孤島での大量殺戮事件にいたるまで―底なしの孤独と絶望をひきずって、戦後アジアの50年を生きた男の壮大な神話が、いま開幕する。

壮大な物語ですが、巧妙な最後にはなぜか爽快に気持ちになれる良い物語でした。
それから映画で見てみたいです、原作を完全に再現すにはかなりお金がかかるでしょうけど、ややB級な作りでもスリリングな感じが出ていれば是非みてみたいです。

「はじめてのiPhone/iPadアプリ開発」の iOS7/Xcode5対応サンプルコードとサポートページを公開しました

今年3月に出版されたiPhone/iPadアプリ開発の書籍 はじめてのiPhone/iPadアプリ開発―iOS6/Xcode4対応版 (TECHNICAL MASTER) のiOS7/Xcode5に対応したサンプルコードサポートページ を公開しました!

はじめてのiPhone/iPadアプリ開発―iOS6/Xcode4対応版 (TECHNICAL MASTER)

はじめてのiPhone/iPadアプリ開発―iOS6/Xcode4対応版 (TECHNICAL MASTER)

サンプルコード

「はじめてのiPhone/iPadアプリ開発」で取り上げているサンプルコードは大部分はそのままでも iOS7/Xcode5 で動作しますが、

  • ビデオ再生アプリが iOS-SDKの仕様が変わったようで早送り等が出来なくなりました
  • 一部のアプリでは、表示の一部が欠けます

を修正しました。秀和システムのサポートページ からダウンロードできます。

サポートページ

サポートページ では iOS7/Xcode5 で本書内容と関連する、

  • iOS7のフラットデザインとコンテンツ中心の考え方で表示の一部が欠る件の対応方法
  • Xcode5で変わった Constraint(AutoLayout)の配置方法の簡単な解説

を書きましたので、参考にして頂けると良いかと思います。

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観

休暇中に読みました。

この本は、言語学者でありプロテスタントの宣教師であった著者が布教の為にアマゾン奥深くに住む少数民族ピダハンの言葉を学ぶために彼らの村に暮らした記録と、著者が彼らの言語や文化を学ぶことで著者自身の人生が変わってしまう物語です。

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観

ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観

ピダハンの言葉は

  • おはよう、さようなら、ありがとう、すみませんなどの「交換的言語使用」がない
  • 数をあらわす単語が無い(1,2 もない)
  • 色の名前や右左を表す単語がない
  • いかなる言語とも似てない
  • 村にはピダハン語以外を話せる人はいない(片言は話せるが)

そして、ピダハンの生活・文化には

  • 主に川で魚を取ってくらしている、一年を通じ魚は良く捕れる
  • 食物を保存する習慣はない
  • 集団で暮らしているが、王や村長はいない
  • 神話がない
  • 宗教、宗教的儀式がない
  • 夜にじっくりと寝ることはない、15分から1時間程度の仮眠を幾度となく取る(アマゾンの奥地では絶えず野生の脅威があるので熟睡するのは危険らしい)
  • 子供は歩けるくらいになれば一人前の人間として扱う、けして子供だからと言って特別扱いしない
  • 死を恐れていない
  • 自分の見た物、仲間の見たもの以外には興味がない
  • よく笑う

ピダハンはアマゾン奥深くに住んでいますが未開の人ではありません。船の通れるような川沿い住んでいるのでブラジル人の商人が訪れ取引もしますし、近くの部族が西洋化しているのは知っています。彼らは西洋の文明は知っていながらも、自分たちの生き方の方が素晴らしいと信じ生活を変えません。

著者は、連続ではありませんが30年近くピダハンと暮らしました。ピダハン語を理解し、ほかの学者と共同で彼らに数字を教えようと半年間も努力しましたが、彼らは数字に価値を見いださず結局失敗しました。
また、彼らにキリスト教を教えようとしましたが、自分または仲間の見た物以外は信じない彼らには、「おまえはイエスに会ったことがあるのか? 会った事のない物の言う事など興味がない」と言われ上手くいきませんでした。
著者は最終的にはピダハン的な世界を選び、キリスト教を捨ててしまいました。



ピダハンには、東洋人の私たちでも驚く言語・文化をもっています。あいさつや神話はどの民族もが持っているものだと思っていましたが・・・

そして西洋文明を知っていながら、それを取り入れようとはせず、自分たちの世界で幸せに生きています。彼らには宗教や神話のような抽象的なものは必要ないのです、現実だけの世界で生きているのです。
ジャングルの中で暮らしているので絶えず身の危険にはさらされていますが、たぶん私たちが持つ抽象的な不安も無いのではないかと思います。

SQLアンチパターン

楽しく読める本です。そして、とても実用的です!

SQLアンチパターン

SQLアンチパターン

データベース設計は、Webアプリを始め、ほとんどのシステムの性能・拡張性、そして開発のしやすさを決定する非常に設計です。しかし、分かりやすく、かつ実践的な書籍は多くないと思います。この本は、タイトル通り 「こんなデータベース設計を行っては行けない!」 という内容です。

この本はデータベース設計(モデリング)手法を扱った本ではりませんので、データベース設計の基本を理解してる人向けの本ですが、データベース設計をやったことが無くても、何年か開発を行った人なら「ああ以前かかわったシステムのDBこのパターンだったよね・・・」と苦笑しながら読めると思います。

私も、昔かかわったシステムの開発リーダーが「JOINは遅いから使っては行けない」と信じている方で、7章マルチカラムアトリビュート に書かれているように、たくさんの皺寄せがコードに押し寄せて来た事を思い出しました。

読んでみて、私が思ったこの本の良いところは

パターン名が面白い

デザインパターン等のパターンの名前は非常に重要です。内容を的確に表していて、かつ気の利いた名前が付いていないと技術者の間で流行らないと思います。
パターン名は英語をそのままカタカナで書いてますが、ところどころに括弧書きで日本語名が付いています。この日本語が良いですねぇ〜

アンチパターンを使うと、どうなるのかが丁寧に書かれている

アンチパターンを使うと、どんな事が起きるのかについてページを割いて書いてます。もしデータベース(しかも、上司だったりして反論しにくい)設計者がアンチパターンを採用しそうになったら、これを元に反論できると思います。

アンチパターンを使っても良い場合が書かれている

アンチパターンだから絶対に使っては行けない分けではありません、設計では絶えずトレードオフが発生します。 深く検討した結果アンチパターンを使うという選択はあると思います。その為の指針が書かれているのは素晴らしいです。

ORM を使った場合の話しが書かれている

今時のフレームワークを使っている開発者は、当然 ORM(O/R mapping)を使ってますよね。
従来のデータベースの本は、データベースの専門家がデータベースに付いてのみ語ってる本が多く、今どきのプログラマーにはピンと来ないことが多いと思います。
この本は PHPRuby on Rails のコードもたくさん出てきます、ORMを使った場合にはSQLを直接書く場合と異なる事に触れています。

電子版も買えます

http://www.oreilly.co.jp/books/9784873115894/ でPDF, ePub, mobi も買えます !!

「iPhoneアプリ設計の極意」は良いiPhoneアプリを作りたいと思っている人の必読書!

iPhoneアプリ設計の極意 ―思わずタップしたくなるアプリのデザイン は良いiPhoneアプリを作りたいと思っている デザイナー、プログラマー、プロデューサーの必読書です! 内容や感想はたくさん書かれているので、ここではここでは、この本の使い方を書きます。

iPhoneアプリ設計の極意 ―思わずタップしたくなるアプリのデザイン

iPhoneアプリ設計の極意 ―思わずタップしたくなるアプリのデザイン

1. 買ったら、一通り眺める

買ったら、一通り読んで下さい。時間が無いという人は、サブセクションのタイトルとそこで取り上げられているアプリの画面と説明だけ読むだけでも、かなりのアプリ設計の極意を知ることができるとと思います。

2. アプリのリリース前に目次を見直し気になる部分を読み返す

アプリのアルファ版が完成し、開発者や関係者内でアプリの評価やテストを行う際には、この本を取り出し目次を眺めます。
そして、気になるセクションを読んでみましょう。
きっと、そのアプリの問題点や改善点が見つかると思います。


現在、私もあるアプリをバージョンアップ中だったので、アプリの UI上の問題点が次々に発見できました!
良いiPhoneアプリを作るための、素晴らしく有用な本だと思います。

「世界史の誕生とイスラーム」は素晴らしいイスラム・アラブの入門書では

最近、週3日間は通勤してるので本が読めます^^)

世界史の誕生とイスラーム

世界史の誕生とイスラーム

第一章の始まりに、
現在は、「歴史の復権の時代」とみなすことができる。世界は、イラク戦争、中国経済の急成長、アメリカの証券バブルの破綻などが連動して動いており、19世紀以降の欧米勢力の主導により築き上げられた世界構造が変動する予兆もある。あるいは、すでにその課程にかなり踏み込んでしまっているのかもしれない。

と書かれています。実は西洋がづっと世界の中心だったわけではありません。これからの時代は、また西洋ではなくイスラムが世界史を進めて行くのかもしれません。
しかし、私達はイスラム教イスラムの国々に付いてあまりにも知りません。


この本は、聖徳太子とほぼ同年代に生きたモハメッドがイスラム教を生み出してから、ウマイヤ朝アッバース帝国、そしてモンゴル帝国という鎌倉時代くらいまでのイスラムの大帝国の歴史、社会、文化について読みやすい文章やたくさんの図版とともに説明してくれます。

  • 砂漠は灼熱地獄ではなく、そこを知っている者にとっては海のように障害物がなく交易に適している
  • アラブの遊牧民には略奪や戦争は勇気のあかし
  • イスラム教は、商人の宗教
  • 北欧のバイキングとアラブは北欧の大河を通じて交易していた
  • 最初は軍事力で拡大した帝国は、経済の時代へと移行し長続きした
  • イスラムの帝国はヨーロッパ人の忘れてしたまった、ギリシャ・ローマーの学問をはじめたくさんの海外の本を翻訳して学んでいた
  • それが、イタリアなどに伝わりルネッサンスへと繋がった

本当に、驚くような事がたくさん発見できる、素晴らしいイスラム・アラブの入門書だと思います。

たまには開発者もネットの勉強をしよう「ウェブ×ソーシャル×アメリカ」

あのスティーブ・ジョブズの感動スピーチ の最後で語られる"Stay hungry, Stay foolish" の話に出てくる The Whole Earth Catalogue に付いて私はぼんやりとしたイメージしか持っていませんでしたが、それが1970年代、ジョブスだけでなく当時のカウンターカルチャーの中で生きた若者に与えた影響、そしてそれがウェブの原型かも知れないという話には大いに興味を持ちました。さらに、その元になるアメリカ人の精神/文化を19世紀まで遡ったりと、インターネット/ウェブに関わってる人間としては大変に興味深い内容です。

ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力 (講談社現代新書)

ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力 (講談社現代新書)


この本はキャッチーなタイトルとそれに付いて1ページ程度で語るスタイルで書かれています。 読みながらメモした事の一部

  • ネット上で起きることは発明ではなく開発
  • コンピュター・ネットに大きな影響を与えたサイバネティクスという言葉はギリシャ語でかじとりの意味
  • 現在のネット文化はヒッピー、カウンターカルチャーから生まれたものが、社会と折り合えを付け、メインストリームになった
  • 1966年当時は宇宙から写した地球の写真は公開されてなかった!
  • 代表的な企業 Googleの前CEO, AppleのCEOはまさしくカウンターカルチャーの中で育った
  • 彼らの目指したものは、ほぼゴールが見えてきた、「これからのネットは?」がこの本のテーマらしい
  • Facebookザッカーバーグは明らかに彼らとは違う世代
  • ー世代は30年
  • ザッカーバーグはローマを作ったアエネーイスが好き : Facebookは新しいローマ帝国
  • アメリカではEnterprise(企業)には変革を期待されている
  • 理想的な企業は TwoTop ビジョナリーと実務者 : 昔いたベンチャー企業はたしかにビジョナリーの社長とそれを実務に落とす専務とがいた
  • BOP(貧困)世界で考えてみると先進国では普通の変化が、ラジカルに社会を変える
  • Webは必然的にGlobal
  • 米国で一番多いのはドイツ系民族 : へー
  • ハードが決めるデザインから、デザイン中心、そして問題を解決するデザインへと変化している
  • プロデューサーシステムのソフト開発会社ってあるのかな?


たいへん刺激的な本ですが、残念ながら私には6章以降が良く理解出来ませんでした ^^;
トランセンデンタリズム、トグヴィル、ヴィーゴ、マクルーハン・・・ 作者の頭の中にある事の説明が、思想へのポインターばかりで私の頭脳の容量を超えてしまいました。

また、そのうちに読み返してみたいと思っています。