アースダイバー

私は東京が大好きです。大都市としても利便性や匿名性だけでなく、何か言葉に出来ない魅力を持っています。その言葉に言えなかった魅力の一部をこの本は語ってくれます。

アースダイバー

アースダイバー


暇な学生の頃、私は都内をあてもなく何時間も歩くのが好きでした。歩いてみると車や電車での移動と違い、東京はでこぼこしていて、坂だらけだと気づきます。また坂を上り下ると、思ってもいなかったランドマークが案外近かったりします。
この時の経験から、何となく国の重要な施設やお金持ちのお屋敷が高台にあり、私が住んでいた安アパートや街、歓楽街が低いところに在ることも気がついていました。


このアースダイバーは、東京は縄文時代にはリアス式の海岸であり、その後の寒冷期に海が引き出来た川や沼(現在は殆どが埋められてしましまったが)のある低地と、元は岬だった高台とが現在のでこぼこな東京を作っていて、高台と低地、さらにその境目の土地は、人々の無意識をあやつり、その場所に相応しい用途に使われ、相応しい建物がたっている事。その無意識の源泉である、縄文人的な感覚から天皇論までを 中沢 新一 が幾つかの場所毎に雄弁に語っています。


私は若いころ、第2章「湿った土地と乾いた土地」で取り上げられている新宿の十二社や第3章「死と森」の渋谷に住んで居たことがあり、あの場所がもつなんとも言われない雰囲気の正体に触れた気がします。また第4章「タナトスの塔」も、なぜか愛宕山に行った時の記憶が鮮明に甦ってきました。私の中にも縄文人につながる無意識があるのでしょうか。


そいうば、大好きなNHKの「ブラタモリ」でも縄文時代の地形は取り上げられていました。たぶん、この本は参考にされているのだと思います。ブラタモリが好きな人は是非読んでみると良いかと思います。