田園調布は思っていたより大きく、しかも昭和に取り残された街だった (田園調布滞在記)

はじまり

みなさんは、田園調布にどんなイメージを持っていますか?

洒落た駅舎から放射状に広がる道とそれをつなぐ半円形の道の区画にお屋敷が建つ高級住宅地、というイメージでしょうか。

私は田園調布の1駅となりの自由が丘に20年以上住んでいるのですが、田園調布に訪れた事はほとんどありませんでした。したがってこのような一般的なイメージしか持っていませんでした。そんな私ですがマンションの部屋をリーフォームするにあたり田園調布2丁目のアパートに1ヶ月半ほど借り住まいする事になりました。

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田園調布とは

田園調布は、大正から昭和初期にかけ実業家 渋沢栄一ら設立した 田園都市株式会社 が造成・販売した複数の住宅地の中でもシンボル的存在でした。

田園調布と名前が付いた場所は下の地図のような町名に分かれています。その大きさは地図で判るように大井町線沿線の自由が丘、九品仏尾山台、等々力を加えたくらいの大きさがあります。

未知の町に来たので日々いろいろと散歩して周りました、簡単にかく町をまとめてみると。

  1. 田園調布3丁目: 正確には大田区田園調布3丁目、最初に書いた田園調布のイメージのような “The 田園調布” と呼べるエリアです。ほとんどがお屋敷ばかりです
  2. 田園調布4丁目: 3丁目より高台にあり、多摩川そして川崎の方が眼下にみえる場所には大きなお屋敷が多数あります
  3. 玉川田園調布: ここは世田谷区ですが、環八の田園調布駅側は田園調布3丁目と区別できない高級住宅地です。環八の向こう側はお屋敷もありますが大きめの住宅が建つエリアです
  4. 田園調布5丁目: 高台の方は田園調布4丁目とほぼ同じくお屋敷地帯です、ただし低地は庶民的な住宅も建っています
  5. 田園調布2丁目: 駅の東側で商店街があったり、大きめの住宅が建つエリアです。ところどころ、お屋敷も建っています
  6. 田園調布1丁目: 広いエリアで南の方は庶民的な住宅地です、しかし場所によってはお屋敷が建っています
  7. 田園調布本町、田園調布南: 訪れてないので判りませんが、きほん庶民的な住宅地だとおもいます

歴史的に見ると、田園調布とはどこのエリアを指すか によると 田園調布2〜4丁目と玉川田園調布あたりが元々の田園調布のようです。

田園調布の良いところ

緑が多く自然が豊富、そして静か

地図からも判るように非常に大きな多摩川台公園があります。その近くにある宝来公園もそれなの大きさがりますし、多摩川駅の東側も公園です。さらに街の中にも小さな公園がたくさんあります。 また田園調布では家と家の間には木を植えるというルールがあるようです、町中が緑に囲まれています。 朝などたくさんの鳥の鳴き声がします、蝉の音も都内では普段聞かない蝉の声が聞かれます。

そして静かです、道路際のマンションに住んでいる私には最初は静か過ぎて気持ち悪いくらいでした。

色々な住宅がみれる

たくさんのお屋敷、住宅が建っています。建築家にデザインしてもらったと思われる素敵な外見の住宅がたくさんあります、またバブルの時に建てたのでしょうかお城のような面白い建物も多数あります。ごく少数ですが戦前の建物もあります、住んでいたアパートの近くにはアールデコ風のお屋敷があり前を通るのが楽しみでした。

もし、自分の家を建てたいと思っている方は田園調布を散策されると良いのではと思います。

その他

  • 長く続いた地元の人に愛されてる飲食店がある。私の住む自由が丘は長続きするお店が少ないのですが、ここでは数十年も地元に人に愛されてるお店が多いようです
  • 東急東横線東急目黒線東急多摩川線(多摩川駅)の3路線が使えて便利
  • 教会の鐘の音が聞こえる、多摩川駅のそばに大きなカソリックの教会があります。正午と夕方6時に鐘の音が聞こえるのは良いものです

田園調布の良くないところ

スーパーや商店が少ない

スーパーは駅前のプレッセ(東急ストアーの高級版)、環八沿いのナショナル田園(高級スーパー、ナショナル麻布の姉妹店)、中原街道のOTENTOくらいしかないです。

駅の東側の坂道の田園調布商店街はにぎわっていますが、そこから六間通り商店街に入るとシャッター通りです。営業してるか判らない肉屋が1つある程度で魚屋、八百屋などは無いです。コンビニも田園調布全体で4軒くらいしかないです。

私は自由が丘に用があるときは自由が丘で買って帰ったり、自転車で雪ケ谷大塚に行ったりしてました。近くに美味しく安い総菜屋さんが在った事が唯一の救いでした。

飲食店も少ない

飲食店も駅の近くと、六間通り商店街に少しあるくらいで外食も充実してません。ただし良いところに書いたように、地元に愛されてる店が多いと思います。その分、入りにくい雰囲気がある店も多いかもしれません。

住んでないと思われる家が多い

住宅しかない田園調布ですが、夕方や夜あるいてみて人が住んでない家がかなりあります。

  • 廃虚:多くはありませんが廃虚があります、夜は怖いです・・・
  • メンテされてない家: 廃虚にはなっていませんが、明らかに人が住んでなくメンテされてない家が数パーセントはあると思います
  • メンテされているが住んでいない家: アパートの大家さんの家も庭のお掃除等は行われていますが普段は住んでいないようです。このようなお家が20%パーセントくらいあるのではと思えました、普段は都心もマンションにでも住んでいるのでしょうか?
  • 空き地: 以前は家があったのでしょうが空き地になっている場所がかなりあります。高級住宅地の3丁目、4丁目にも・・・一時的な空き地ではなく何年も空き地のままという感じのところもあります。
  • 建築が止まっている家: 多くはありませんが建設途中で止まってしまっている場所もあります、草がボウボウと生えていて一時的な中断ではない事が判ります

緑が多い住宅地は良いのですが、夜は街が暗くなり怖さが増します ^^;

老人が多く活気がない

もちろん若い夫婦や子供はいますが、住宅地を歩くと老人が多いです。田園調布は完全な住宅地です、勤に来る人、買い物客、観光客もほぼいません、ゆいつ学校が多数あり小中高校生が通って来るくらいです。ほんとうに老人が目立ちます。

お店も老夫婦がやってるお店が多く、いつまで営業できるのかなぁ・・・と心配になります。

アパート近くの初老の夫婦がやってるレストランは人気ですがお客さんは老人ばかり、そしてその老人が、最近また話題に登るようになった田園調布在住の元都知事(ほんとに老けましたね)のうわさ話などしていました。

まとめ

振り返ってみると私は東京に住むようになってから商業地と住宅地の中間みたいなところに住んでいました、住宅専用の街には住んだ事が無かったのです。 田園調布はごみごみとした商業地がない事で、逆に街の空気がよどみ重苦しくなっているように感じます。

お手伝いさんがいた戦前のお屋敷街、都内なのに車社会の昭和に作られた街が、今の時代にはあわなくなっています。

4丁目のお屋敷街から川向こうに見えるタワーマンションが建ち並ぶ武蔵小杉は、最近若い夫婦に人気の街です。4丁目のお屋敷街から見える大都会・武蔵小杉は今の街で、それを見ている田園調布は昭和に取り残されてしまった街のようです。

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